健康診断の受付をしていて、ふと気づいたことがあります。
クレームの多くは、「待ち時間」ではなく「不安」から生まれている。
これに気づいた瞬間、頭の中の何かがカチッとはまった気がしました。
長年なんとなく感じていたモヤモヤの正体が、ようやく言葉になった。そんな感覚です。
今日はその気づきを、もう少しだけ深く掘り下げて書いてみます。
健診の現場は、ちょっと特殊です
ぼくは健康診断の現場で受付を担当しています。
健診って、病院での治療とは少し性質が違うんです。
病気で来ている人は、つらいけれど「治してもらいに来ている」という覚悟があります。多少待たされても、それは仕方ないこと、と受け入れてくれる空気があります。
でも、健診は違います。
「会社に言われたから来た」
「本当は仕事に戻りたい」
「面倒くさい」
切羽詰まって来ているわけではないんです。むしろ、できれば早く帰りたい。そういう気持ちで来ている方が大半です。
だからこそ、ほんの少しの待ち時間でも、不満につながりやすい。
30人以上並ぶことも珍しくありません。最後尾の方は、30分以上待つこともあります。
「仕方ない」と思っていた頃
正直に言うと、以前のぼくは「仕方ない」と思っていました。
人数が多いんだから、待たせるのは当然。早く回せるよう努力はするけど、限界はある。そう割り切っていたんです。
でも、その姿勢ではクレームは減りませんでした。
どれだけ効率を上げても、どれだけ動線を工夫しても、不満を口にする人はいる。なぜだろうと、ずっと考えていました。
答えは「待ち時間」の外側にあった
そしてある日、気づいたんです。
問題は、待ち時間の長さじゃない。
「自分が今、どういう状況に置かれているか分からない」という不安。
これが、クレームの本当の原因でした。
10分待つのは、案外耐えられます。でも、「いつまで待つのか分からない10分」は、ものすごく長く感じる。
「忘れられているんじゃないか」
「自分の番、飛ばされたんじゃないか」
「この列、本当に進んでいるのか」
この不安が積み重なって、限界を超えたとき、人は文句を言います。
つまり、待ち時間そのものではなく、待ち時間の「質」が問題だったんです。
不安を減らす、小さな対応
そう気づいてから、現場での動き方を変えました。
やっていることは、本当に小さなことばかりです。
① 準備ができたら、すぐスタートする
オープン時間ぴったりじゃなくていい。準備ができたら、5分でも早く始める。
これは効率のためじゃなくて、「動いているのを見せる」ためです。
「ちゃんと動いてくれている」と分かるだけで、待っている人は安心します。
② 待ち時間を、先に伝える
「あと20分ほどお待たせします」と、こちらから先に言ってしまう。
人は、見通しが立たないことに不安を感じます。逆に、見通しさえ立てば、20分でも待ってくれる。
「納得して待つ」のと「分からずに待つ」のは、まったく違うんです。
③ イライラしてそうな人に、声をかける
待っている列を見ていると、表情が硬くなっている人がいます。
その人に、ひと言だけ声をかけます。
「お待たせしてすみません、もう少しでお呼びしますね」
たったこれだけで、空気が変わる。
伝えたいのは情報ではなく、「あなたのこと、忘れていませんよ」というメッセージです。
もうひとつ、大事なこと
ここまでは受診者への対応の話でした。
でも、現場で働いていて気づいたのは、もうひとつ大事なことがあるということ。
スタッフへの気配りです。
混んでくると、スタッフもみんな余裕がなくなります。
表情が硬くなる。声が小さくなる。動きが雑になる。指示が早口になる。
そうなると、現場の空気はどんどん重くなっていきます。そして受診者は、その空気を敏感に感じ取ります。
スタッフがピリピリしている現場では、いくら受付担当が笑顔で対応しても、全体の印象は良くなりません。
「楽しくなってきたね」
だから、スタッフにもひと言かけるようにしています。
「大丈夫?」
「混んでるけど、いけそう?」
そして、ぼくがよく使う言葉があります。
「楽しくなってきたね」
混雑して大変な状況のときに、あえてこう言う。
冗談半分、本気半分。
不思議なもので、この一言で空気がふっと緩むんです。「そうですね」と笑い返してくれるスタッフもいる。それだけで、現場の空気が一段階軽くなる。
ぼく自身、誰かにこう言われて救われたことが何度もあります。
受診者とスタッフ、両方に気を配る
現場をスムーズに回すコツは、たぶんこれです。
受診者だけを見ない。スタッフだけを見ない。両方に気を配る。
受診者の不安を減らす対応をする。
スタッフの余裕を作る声かけをする。
この両輪が回って、初めて現場の空気は整います。
片方だけだと、必ずどこかで歪みが出る。
これは、健診の現場だけの話じゃない
書きながら思ったんですが、これは健康診断の現場に限った話ではないですね。
接客業も、営業も、チームでの仕事も、マネジメントも。
人と関わるすべての場面で、同じことが言えると思います。
相手の不安を、先に減らす。
仲間の余裕を、先に作る。
シンプルだけど、これができる人は、どんな現場でも重宝されるんじゃないかと思います。
おわりに
今日気づいたことを、こうして書き出してみると、当たり前のことばかりだなと思います。
でも、当たり前のことを当たり前にやり続けるのって、意外と難しい。
派手なテクニックじゃなくて、地味な気配りの積み重ね。
それが現場の空気を作るんだと、今は思っています。
コツコツ積み上げます。
日々の現場での気づきは、Xでも発信しています。
👉 @genba50ai

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